バッテリートルクレンチとは — 産業用大型ボルト向けの電動工具

バッテリートルクレンチ(バッテリー式電動トルクレンチ / コードレストルクレンチ)は、リチウムイオンバッテリーと内蔵モーターで駆動する産業用のボルト締付工具です。油圧トルクレンチのように外部の油圧ポンプやホースを必要としないため、準備時間が大幅に短縮されます。

近年、プラント・造船・風力発電・製鉄所などの産業現場で急速に採用が進んでいます。20〜10,847N·mの幅広いトルクレンジに対応し、油圧トルクレンチに代わる選択肢として注目されています。

Point — バッテリートルクレンチが選ばれる理由
  • コードレス:油圧ホース・ポンプが不要。電源がない現場でも即作業開始
  • 軽量・コンパクト:3〜12kg台で持ち運びが容易。高所作業や狭所にも対応
  • デジタル制御:1N·m単位でトルク値を設定。自動停止機能で締め過ぎを防止
  • データ管理:Bluetooth連携でトルクデータをリアルタイム転送。トレーサビリティ確保

油圧トルクレンチとの違い — 使い分けの判断基準

油圧トルクレンチとバッテリートルクレンチは、どちらも産業用のボルト締付工具ですが、駆動方式と得意な領域が異なります。

比較項目バッテリートルクレンチ油圧トルクレンチ
駆動方式リチウムイオンバッテリー + モーター油圧ポンプ + ホース
トルク範囲20〜10,847 N·m160〜80,000 N·m以上
精度±5%±3%
準備時間数秒(バッテリー装着のみ)数分(ポンプ・ホース接続)
重量3〜12 kg(本体のみ)5〜35 kg(本体のみ)
周辺機器不要(バッテリーのみ)油圧ポンプ・ホースが必須
静音性静か(モーター駆動)ポンプ動作音あり
データ管理Bluetooth連携あり一部モデルのみ対応
向いている現場移動が多い・高所・屋外超高トルク・固定作業場
使い分けの判断基準
  • 10,847 N·m以下のトルク → バッテリー式で対応可能
  • 10,847 N·mを超える超高トルク油圧トルクレンチ一択
  • 移動が多い / 電源がない現場 → バッテリー式が有利
  • 固定作業場で大量のボルトを連続締付 → 油圧式が効率的

エアートルクレンチ・インパクトレンチとの違い

ホームセンターや自動車整備で見かける「充電式インパクトレンチ」と産業用バッテリートルクレンチは全く別の工具です。

インパクトレンチとの決定的な違い

インパクトレンチは打撃力(インパクト)でボルトを回す構造のため、トルクの管理精度が低く(±25〜30%)、プラントや発電所などのフランジ締結には適していません。産業用バッテリートルクレンチはデジタル制御により設定したトルク値で自動停止するため、精度±5%以内の正確な締付けが可能です。

エアートルクレンチとの違い

エアートルクレンチはコンプレッサーとエアーホースが必要です。バッテリー式はこれらの周辺機器が一切不要なため、現場の制約を受けずに作業できる点が最大のメリットです。

コードレス化のメリット — 現場が変わる4つのポイント

① ホースレス・電源不要

油圧ホースやエアーホースの取り回しが不要。配管が複雑なプラント内部、高所の風力発電タワー、洋上設備など、ホースの引き回しが困難な現場で真価を発揮します。

② 準備・片付け時間の大幅短縮

油圧ポンプの設置・ホース接続・エアー圧確認などが不要。バッテリーを装着するだけで作業開始できるため、定期修繕(ターンアラウンド)の工程短縮に直結します。

③ 狭所・高所での作業性

最軽量モデル(LION)は本体わずか3.04kg。片手で持てるサイズで、足場の上やパイプの間など狭い空間でのボルト締結に適しています。

④ デジタルデータ管理

Bluetooth対応モデルでは、締付トルク値・角度・日時をリアルタイムで外部デバイスに送信。ASME PCC-1に準拠したトレーサビリティを確保し、品質記録の作成を効率化します。

産業用バッテリートルクレンチの選び方

チェック①:必要なトルク範囲

対象ボルトの締付トルク値(N·m)を確認し、その値がレンジに含まれる機種を選びます。余裕を持って最大トルクの70〜80%の範囲で使用できる機種が理想です。

チェック②:対応ボルトサイズ

ソケット(スクエアドライブ型)の場合、差込角と二面幅を確認します。M16〜M80以上の産業用大型ボルトに対応可能です。

チェック③:本体重量と作業環境

高所作業が多い場合は軽量モデル(3〜5kg台)、据え置き作業中心なら高トルクモデル(7〜12kg台)を選択します。

チェック④:データ管理の要否

品質記録やトレーサビリティが求められる現場では、Bluetooth連携・トルク+角度同時測定に対応したモデルが必須です。

チェック⑤:バッテリー持続時間

大量のボルトを連続作業する場合は、1充電あたりの締付本数を確認します。予備バッテリーの準備も重要です。

HYTORC バッテリートルクレンチ 全4シリーズ・13機種

HYTORC(ハイトーク)はバッテリー式電動トルクレンチ全4シリーズをラインナップ。20〜10,847N·mの幅広いトルクレンジをカバーします。

LST — 最先端のバッテリー式電動トルクレンチ

HYTORC LST バッテリー式電動トルクレンチ

HYTORCの電動トルクレンチの中で最も高機能なフラッグシップシリーズ。36Vリチウムイオンバッテリー搭載、全7サイズ、34〜10,847N·m対応。仮締め(高速ランダウン)と本締め(トルクモード)のデュアルモードを全サイズに搭載。HYTORC Connectアプリ(Bluetooth/USB)によるリアルタイムデータ記録トルク+角度の同時測定、内蔵ワークライト、ファームウェアアップグレード対応。ニッケルメッキアルミハウジングの堅牢な設計です。

型番最小 (N·m)最大 (N·m)重量 (kg)
LST-0250343394.3
LST-07002039495.3
LST-12002711,6275.5
LST-20004412,7127.5
LST-30006784,0678.0
LST-50001,0856,77910.2
LST-80001,76310,84712.2
LST製品詳細を見る →

LGX — 36V高トルクのエルゴノミック設計

HYTORC LGX バッテリー式電動トルクレンチ

36Vリチウムイオンバッテリー搭載で最大4,067N·mの高トルクを実現。±5%の精度で正確な締付けを行います。エルゴノミック設計と低振動構造により作業者の疲労を軽減。2ハンドセーフティモード搭載で安全性も確保。データキャプチャ機能・Bluetooth対応モデルでトレーサビリティにも対応します。全2サイズ。

型番最小 (N·m)最大 (N·m)重量 (kg)
LGX-10002711,3564.35
LGX-30006784,0677.01
LGX製品詳細を見る →

LION — 軽量・コードレスの直感操作モデル

HYTORC LION バッテリー式電動トルクレンチ

18Vリチウムイオンバッテリー搭載の軽量コードレスモデル。クリッカーレンチやインパクトガンより確実で正確なトルク管理を実現します。直感的なデジタルディスプレイ、低振動設計による疲労軽減、初心者からベテランまで扱いやすい操作性が特長。最軽量3.04kgで高所・狭所での取り回しに優れます。全3サイズ。

型番最小 (N·m)最大 (N·m)重量 (kg)
LIONGUN-.06020813.04
LIONGUN-.25343393.32
LIONGUN-.7959493.74
LION製品詳細を見る →

LION DUAL SPEED — HYTORCの最速電動トルクレンチ

HYTORC LION DUAL SPEED バッテリー式電動トルクレンチ

HYTORCラインナップ中最速の電動トルクレンチ18Vバッテリー搭載で、シフトカラーを切り替えるだけでランダウンモード(高速仮締め)とトルクモード(±5%精度の本締め)を使い分け可能。LCDデジタルディスプレイ、内蔵データ記録機能を備え、大量ボルトの精密締結を効率化します。

型番最小 (N·m)最大 (N·m)重量 (kg)
LIONGUN-.125-BSM-DS331693.1
LION DUAL SPEED製品詳細を見る →
シリーズの選び方まとめ
  • 最高機能・デュアルモード・データ管理・トルク+角度測定 → LST(36V)
  • 36V高トルク・エルゴノミック・安全機能重視 → LGX(36V)
  • 軽量・コードレス・直感操作・高所狭所作業 → LION(18V)
  • 仮締め+本締めの最速切替・大量ボルト → LION DUAL SPEED(18V)

導入現場 — プラント・風力発電・造船での活用

プラント定期修繕(ターンアラウンド)

配管フランジの大量締結が発生する定期修繕では、バッテリートルクレンチの「準備時間ゼロ」が工程短縮に直結します。油圧ポンプの配置変更やホース引き回しが不要なため、各フランジ間の移動効率が大幅に向上します。

風力発電タワー・ナセル

タワー内部やナセル上部は空間が限られ、油圧ホースの引き回しが困難です。軽量なLION(3kg台)であれば高所への持ち運びも容易で、Bluetooth連携によるデータ管理も可能です。

造船・重工業

造船所では船体各部のボルト締結作業が広範囲にわたります。バッテリー式であれば電源の確保を気にせず、甲板上・エンジンルーム・バラストタンク内など場所を選ばず作業できます。

レンタルで試す — 購入前の現場検証

バッテリートルクレンチの導入を検討する場合、まずレンタルで現場検証することをお勧めします。MHS株式会社ではHYTORC製品のレンタルを最短1日から全国対応で提供しています。

よくある質問(FAQ)

バッテリートルクレンチと油圧トルクレンチの違いは何ですか?

油圧トルクレンチは油圧ポンプとホースで高圧を伝達するのに対し、バッテリートルクレンチは内蔵モーターとリチウムイオンバッテリーで駆動します。油圧式は80,000N·m以上の超高トルクに対応し精度も±3%と高い一方、バッテリー式は10,847N·mまでの対応ですがホース・ポンプが不要で準備時間が大幅に短縮されます。

バッテリートルクレンチとインパクトレンチの違いは?

インパクトレンチは打撃力でボルトを締めるため精度が低く(±25〜30%)、産業用バッテリートルクレンチはデジタル制御で正確なトルク値を設定でき、精度±5%以内でプラント・造船・風力発電などの産業用途に使用されます。

バッテリートルクレンチはレンタルできますか?

はい。MHS株式会社ではHYTORCバッテリートルクレンチのレンタルを最短1日から提供しています。購入前の試用、定期修繕のスポット利用、修理中の代替機としてご活用いただけます。全国配送対応です。

充電式トルクレンチと産業用バッテリートルクレンチは同じですか?

「充電式トルクレンチ」はDIY向け小型工具から産業用大型機まで幅広く使われる名称です。産業用バッテリートルクレンチは36Vリチウムイオンバッテリーを搭載し、数百〜10,000N·m以上の高トルクに対応する専用設計の工具です。マキタやHiKOKIなどの一般充電式トルクレンチとは用途・性能が大きく異なります。

まとめ

バッテリー式電動トルクレンチ(コードレストルクレンチ)は、産業用ボルト締結の現場を変える次世代工具です。

機種選定でご不明な点は、ハイトーク日本正規代理店のMHS株式会社へ。見積・デモ・レンタルは無料相談から対応いたします。