カセット型(XLCT・STEALTH)の反力の取り方とは
カセット型の油圧トルクレンチは、薄型のカセット自体が反力受けとなり、隣のナットで反力を受けます。XLCT・STEALTHは、ナット二面幅(AF寸法)に合わせたカセットを本体に装着し、カセットがナットを掴んで回します。このとき締付反力は、カセットの側面が隣のナットに当たることで受け止められます。
そのため、スクエアドライブ型のMXTのように反力アームを別に当てる必要が基本的にありません。フランジのようにナットが等間隔に並ぶ箇所で、カセット型が使いやすい理由はここにあります。MXTの反力アームについてはMXT 反力アームの使い方と選び方で解説しています。
カセット型の反力=「カセットが隣のナットにもたれて反力を受ける」。隣のナットがあれば反力アームは要らず、無ければオプションで反力点をつくります。
反力アーム・オプションが必要になる場面
隣のナットで反力を受けられない次のような場面では、オプションの反力受けで反力点をつくります。
- 隣のナットが無い — ボルトが1本だけ、または間隔が広く、カセットの側面が隣のナットに届かない
- 隣のナットが使えない — 隣のナットが低い、形状が異なる、別部材で反力を受けさせたくない
- ナット周囲のスペースが限られる — 周囲の構造物との隙間が小さく、カセットの向きや当たりが安定しない
- 反力点が少し離れている — フランジ面や構造物など、使える反力点はあるが、カセットや反力パッドでは届かない
反力パッドとアルコアーム — XLCT・STEALTH共通のオプション
反力パッド単体。XLCT・STEALTH共通
アルコアーム単体。XLCT・STEALTH共通| 反力の取り方 | 仕組み | 向いている場面 |
|---|---|---|
| カセット(標準) | 薄型のカセット自体が反力受けとなり、隣のナットで反力を受ける | フランジなど、隣にナットがある一般的な締結 |
| 反力パッド | 工具本体に取り付け、フランジ面や隣接部に反力を逃がす | 隣のナットが使えない、ナット周囲のスペースが限られる狭所 |
| アルコアーム (延長タイプ) | 標準より長い反力受けで、少し離れた反力点に届かせる | 反力点はあるが、カセットや反力パッドでは届かない箇所 |
反力点に使ってよいもの・いけないもの
| 反力点にしてよいもの | 反力点にしてはいけないもの |
|---|---|
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カセット型でも、カセットの側面と隣のナットの間、反力パッド・アルコアームと固定点の間は加圧中に大きな力がかかります。加圧中は工具から手を離し、反力点の周囲に体の一部を入れないことを徹底してください。
当て方の基本 5か条(カセット型)
- カセットをナットに完全に掛ける — カセットの六角がナットに浅く掛かった状態で加圧すると、ナットの角を傷め、反力も安定しません。
- 向きを合わせる — 締付か緩めかで反力の向きは逆になります。カセットの側面が反力を受ける側の隣のナットに当たるよう、工具の向きを決めます。
- 面で当てる — カセット側面や反力受けの面を、隣のナット・フランジ面に平らに接触させます。角や曲面での点当たりは滑りの原因になります。
- ホースを反力方向から外す — スイベルとホースが反力の向きに来ないよう、本体の向きを決めます。
- 低圧で当たりを確認してから本圧 — まず低い圧力でカセットと反力点の当たりを確認し、工具がずれないことを見てから設定圧まで上げます。
細かな操作手順は機種ごとの取扱説明書に従ってください。MHSでは納品時・レンタル時に現場またはオンラインでの操作指導を行っています。
XLCT・STEALTH 型番ごとの反力アーム寸法
オプションの反力受けが反力点に届くか、ナット周囲のスペースに収まるかは、寸法図のR(反力アーム長)と本体の高さH・幅W1で事前に確認できます。同じサイズ番号であれば、XLCTとSTEALTHのRは同じです。
| 型番 | 最大トルク(N·m) | R 反力アーム長(mm) | H 高さ(mm) | W1 本体幅(mm) | 重量(kg) |
|---|---|---|---|---|---|
| XLCT-2 | 2,286 | 26 | 102 | 49 | 0.93 |
| XLCT-4 | 5,224 | 34 | 136 | 66 | 1.93 |
| XLCT-8 | 11,045 | 45 | 170 | 82 | 3.25 |
| XLCT-14 | 18,157 | 59 | 204 | 99 | 5.14 |
| XLCT-18 | 25,881 | 67 | 231 | 111 | 6.75 |
| XLCT-30 | 41,986 | 78 | 272 | 131 | 10.82 |
| XLCT-45 | 66,679 | 103 | 340 | 152 | 19.50 |
| XLCT-60 | 80,143 | 122 | 340 | 164 | 21.80 |
| STEALTH-2 | 2,534 | 26 | 107 | 32 | 1.81 |
| STEALTH-4 | 5,450 | 34 | 138 | 42 | 2.00 |
| STEALTH-8 | 10,823 | 45 | 163 | 53 | 3.03 |
| STEALTH-14 | 19,324 | 59 | 202 | 64 | 4.71 |
| STEALTH-22 | 29,654 | 67 | 233 | 74 | 7.00 |
| STEALTH-36 | 47,069 | 78 | 275 | 87 | 10.93 |
寸法図と全スペック、カセットの対応AF寸法はXLCT製品ページ・STEALTH製品ページに掲載しています。
標準のカセット・反力パッド・アルコアームで反力が取れない現場では、現場条件に合わせた反力アームの特注製作も承ります。反力点までの距離、周囲の隙間、ボルト配置の図面や写真をお送りいただければ、形状と可否を検討してご回答します。ご依頼・ご相談はMHSまで。
現場でよくある困りごとと対処
- 隣のナットが無い・間隔が広い — 反力パッドでフランジ面や隣接部に反力を逃がします。反力点が少し離れている場合はアルコアームを検討します。
- カセットが隣のナットに斜めに当たる — 工具がボルト軸に対して傾いています。カセットを掛け直し、面で当たる位置にしてから加圧します。
- ホースが反力方向に来てしまう — 本体の向きとスイベルの角度を変え、ホースが挟まれない姿勢にしてから加圧します。
- 反力点がどこにも無い — 別の剛な構造物を探し、届かなければアルコアーム、それでも無理なら特注製作をご相談ください。
よくある質問(FAQ)
XLCT・STEALTH に反力アームは必要ですか?
基本的には不要です。カセット型のXLCT・STEALTHは、薄型のカセット自体が反力受けとなり、隣のナットで反力を受けます。隣のナットが使えない箇所や、ナット周囲のスペースが限られる箇所では、オプションの反力パッドやアルコアームで反力を取ります。
反力パッド(Reaction Pad)とは何ですか?
ナット周囲のスペースが限られた狭所のボルト締結用の反力受けです。XLCT・STEALTHの工具本体に取り付け、フランジ面や隣接部に反力を逃がします。隣のナットで反力を受けられない箇所で使います。
XLCT・STEALTH用のアルコアームとは何ですか?
カセット型向けの延長タイプの反力アームです。反力点が少し離れていて、カセットや反力パッドでは届かない箇所でも反力を取れるようにし、反力の取り方の自由度を広げます。
XLCTとSTEALTHで反力のオプションは共通ですか?
共通です。反力パッド・アルコアームはXLCT・STEALTHで同じものを使い、同じサイズ番号であれば寸法図の反力アーム長Rも同じです(例:XLCT-4とSTEALTH-4はともにR 34mm)。
反力を当てる相手が近くにない場合はどうすればよいですか?
まず別の剛な構造物を反力点にできないか確認し、届かない場合はアルコアームで反力点までの距離を変えます。それでも反力点が確保できない場合は、反力アームの特注製作も承ります。現場条件(ボルト径・必要トルク・周囲の隙間・ボルト配置)を伺ったうえでMHSがご提案します。
まとめ
- カセット型のXLCT・STEALTHは、薄型のカセット自体が反力受けとなり、隣のナットで反力を受ける。基本は反力アーム不要
- 隣のナットが使えない・狭所では反力パッド、反力点が少し離れていればアルコアーム(XLCT・STEALTH共通)
- 反力点は隣のナット・フランジ面・剛な構造物。薄肉部・曲面・人の体は絶対に使わない
- 当て方はカセットを完全に掛ける/向きを合わせる/面で当てる/ホースを外す/低圧で確認の5か条
- 反力が取れない現場は反力アームの特注製作もMHSにご相談を
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